武田康志 回想録 第17弾『不域』
2019年2月21日
『不域』 皆さん、これはどんな意味だと思いますか?
この言葉は辞典を探しても載っていません。 有名な書家がつくられた造語です。
かべをつくらず。とよませるそうです。
もともと域という漢字の意味をひくと 物事の程度の、一定の段階。範囲。境地。
この造語に込められた意味は・・・ もうお分かりですね。
『自分に壁をつくるな』
自分には限界だーとか
もうだめだーとか
この範囲が自分の能力
この範囲が自分の仕事の範囲
この範囲が常識的な範囲
そんな風に 自ら自分の能力の範囲や活動範囲などなど 自分で自分に壁を作るなという意味です。
どなたにも当てはまりますね。
この壁をぶち破ってこそ、成功するし、新しいものが見えてくる。
なかなか口では言えても、実行はできません。
しかし、頑張って壁を破ろうとする姿勢が大事。
実はこれ、
「鮨 行天」さんの10周年記念パーテイーでの 見事な書のパフォーマンスで目にした言葉。
予約がなかなか取れないお店ですが、
年に数回ペースで定期的に通わせていただいてます。
私がこちらに通う理由が二つあります。
一つは、もちろん鮨。
大将がこだわりぬいたネタもシャリも、本当に最高です。
ですが、私が行天さんに惹かれてやまないのはもう一つの理由の方。
それは 大将がつまみや鮨を握る合間合間に語ってくれる話が、非常に勉強になるから、です。
大将は職人気質といいましょうか。
自分の職域には一切の妥協を許さず 信念を貫き徹底的に質にこだわった仕事をされています。
行天さんの おもてなしの流儀 にこんなことが書かれていました。
自らに課した妥協なき姿勢を、ただ感じていただければ
業種こそ違えど、覚悟といいますか・・・ 確固たる想いが伝わってきます。
そんな大将が鮨をもてなす合間・・・
いわゆる行間に発する深い「言葉」や大将ならでは の「エピソード」が楽しみの一つなのです。
それは同時に、自分自身を見つめなおす大切な時間でもありますので
行天さんから10周年パーテイーのお誘いがあった時は、
私自身、これほどの魅力ある方の10周年に立ち会えることを心から嬉しく思いました。
そしてこの不域という造語も登場し、
自分にも置き換えてあれこれ思いを巡らせながら、
スポーツ整形外科医として、まだ何が足りなくて、どうしたら今までの経験が患者さんに還元できるか、
日々妥協なく考えながら進まないといけないと 改めて気持ちを引き締めた夜でした。
武田康志