お気に入りの1冊
3月4日
ブログ担当は診療補助白水です。
私の憧れの女性の先輩から18歳の時、本の良さについて教えてもらいました。
迷うとき悩んだときによく本屋さんに足を運んでいました。
今は、沢山の本を読むより同じ本を繰り返し読む事が増えました(笑)
最近のお気に入りの本を紹介します。
もう大昔の本で今も出版されてるか不明ですが・・・・
その本の一節を抜粋したものです。
安易な道への誘惑
先生(故山田耕筰氏)を初めて識ったのは三十年前、十二歳の時であった。
作曲をどうしても一生の仕事にするのだと言って聞かなかった僕を連れて、父は当時赤坂にあった山田先生のお宅に相談に上がったのである。先生はこの道の嶮しさ、難しさを僕に懇々と諭される筈であった。ところがどうしたはずみか、先生は鋭い眼付きで子供を見据えていた末、
「やり給え、そしてやるからには、最も正統的な勉強を積んで最も本格的にやり給え。」
と言われたのである。
これで僕の一生は決まってしまった。最も正統的な勉強を積んで、最も本格的に。その言葉は、十二歳の時から今に至るまで、勉強中も、そして世の中に出てからも、あらゆる正統的ではない音楽からの誘惑、本格的でない線に陥る安易への誘惑から厳しく僕を護ってくれる言葉であった。いつも、僕は音楽家として活きて行く危ない岸でこの言葉を思い出した。
団伊玖摩「パイプのけむり」
団伊玖摩さんは私の故郷「組曲 筑後川」を作曲された方でもあるのでこの一節がとても好きで何度も読み返しています((笑))