足関節捻挫と思っていたら・・・
こんにちは!診療の原田です。
今年も残すところ、あとわずか。
本格的に冷え込みが強くなってきました。
皆様、体調管理には十分にお気をつけください。
さて、今日は小児(特に学童期)の足関節捻挫についてお話ししたいと思います。
足関節の捻挫は、スポーツシーンや日常生活でも発生頻度が高い外傷であり、
経験したことがある方も多いのではないでしょうか。
足首を内側に捻る。いわゆる内反捻挫(内返し)が多く、
足関節の外側靭帯を中心とした組織の損傷を起こします。
ときに骨折など骨組織の損傷を合併し、強い痛みや腫れが出現し
歩行が困難になることもあります。
発育途中の小児(特に学童期)に発生した足関節捻挫(内返し)では、
靭帯による牽引により、まだ柔らかい骨部分(外くるぶし部分)が
引っ張られ、剥離骨折を起こしてることが多々あります(特に初回受傷)。
患側:左(向かって右)単純レントゲン検査(正面)では特に異常ないように見える
特別に角度をつけて撮影することで剥離骨片が確認できる(青矢印)
特徴的なのは、痛みはあるものの歩行が可能であることが多く、
人によってはジャンプも可能であることがあります。
そのため、軽い捻挫だろうと放置されることがあります。
実際に当院を受診され、剥離骨折と診断された方の多くも歩行は可能で、
つま先立ちやジャンプが可能なことが大半です。
この小児の足関節捻挫に伴う剥離骨折(外くるぶし部分)や外側靭帯損傷の
適切な治療がなされないと、関節を制動する靭帯の機能も回復しないことがあり、
慢性足関節不安定症(Chronic Ankle Instability : CAI)と言われる
慢性的に足関節に不安定感を抱いてしまう病態 一般的には「捻挫ぐせ」となり、
平地の歩行時やスポーツでのサイドステップなどでも捻挫を繰り返すようになることで
靭帯だけでなく、軟骨損傷のリスクが高まります。
場合によっては、手術での治療が必要となる状態へ発展することがあります。
当院では、レントゲン検査(剥離骨折は通常の撮影方法では発見しにくく、
特別に角度をつけた撮影を行う)やエコー検査で剥離骨折がないか、
慎重に診療を行い治療を進めております。
「たかが捻挫」と考えず、早めの受診をお勧めいたします!