1か月前にサッカー中に足関節をねじって練習を休んでいたのに、 痛みが改善しない。
17歳 男子 競技サッカー選手
主訴 左足関節痛(内側)
現病歴
1か月前にサッカー中に足関節をねじったため、一度練習を休む。
痛みが改善したのでサッカー練習を再開すると痛みが強く出現し タケスポ初診されました。
痛みは踏み込みで強く痛みがでるとのこと。
診察には独歩にて来院され、理学所見では圧痛は足関節内果に認め、足関節内側にある三角靭帯には圧痛は認めませんでした。
足関節の関節可動域制限を認めないものの足関節背屈にて誘発されました。
足関節のパフオーマンステストとして片足バランステスト、
片足でのヒールレイズテスト、片足ホッピングテストしましたが、
すべて可能でした。
これだけの情報で何を想定していかれますか?
鑑別をいくつ頭に浮かびますか?
トレーナー志望の方はチャレンジしてください。
私としては
①初回の内反ねんざの合併症としての距骨内側の骨挫傷
②距骨離断性骨軟骨炎
③足関節内果疲労骨折
④足関節内果副骨障害ないし内果偽関節
⑤フットボーラーズアンクルの骨棘障害
を念頭に置きます。
では検査結果に進みます。
レントゲン
正面像で確認できるのは①から⑤のうち
②離断性骨軟骨炎
③足関節内果疲労骨折
④足関節内果副骨障害ないし内果偽関節
⑥フットボーラーズアンクルの骨棘障害
です。
レントゲン所見から②、④、⑥は否定的です。
この中で注目は③です。拡大像も添付していますが、亀裂が確認できます。
MRI画像
足関節内果にSTIR画像にて高信号を認めます。高信号が認められるということは、この部分が痛みの原因になっていることを示します。
T1画像では亀裂を確認できます。レントゲン所見よりも亀裂は深く入っています
CT画像
CTでも亀裂が明確に入っていることが確認できます。
臨床診断
足関節内果疲労骨折(骨折部に骨硬化像みとめる)
競技選手であること、国内留学でサッカーの競技選手として入学している。
今回初回であり保存治療をまず選択するということもあるでしょうが、
競技選手、骨折部周辺が骨硬化があるので手術を選択しました。
●足関節内果疲労骨折の豆知識の確認●
脛骨内果疲労骨折
<発生機序>
サッカー選手などで見られる。足関節果部に対して繰り返される距骨の回旋により内果にひずみが加わって生じる。
<診断>
内果部分の運動時と熱感、圧痛などが特徴。レントゲンで足関節内果関節部の上角部から骨折部が上方に延びる。
初期例ではレントゲンでは骨折像が認められないこともある。CTやMRIが有効である
<治療>
初期では運動中止と半硬性装具などの適応であるが、疼痛の改善がえられなければギプス固定を免荷が必要である
骨折部に骨硬化像が出現すると保存治療では治癒しがたいため手術を行う
金属のねじ固定と骨硬化部の骨穿孔術
今回の治療方針
疲労骨折部の内固定+骨穿孔術(ドリリング)
術中所見
骨折部にかかるチカラを分散させるために骨折部に垂直に固定することを念頭にスクリューの位置を決めました。
固定後に骨硬化があるので1.5㎜ワイヤーにて骨穿孔術をして血液が十分に骨折部に届くよう追加処置しています。
術後CT
術後メニュー
4週間免荷後に荷重開始
3か月から復帰メニュー開始。
今回は疲労骨折でしたが、足関節内反捻挫をして1か月程度長いと2か月程度休んでいたのにサッカー再開すると痛みが取れていないないとの訴えで受診される方はおられます。今回の症例を通じて足関節内側の痛みが続く場合の鑑別の流れを確認していただけたらと思います