第17回 日本スポーツ整復療法学会 参加してきました
こんにちは、診療補助の市原、池井です。
9月8日(日)、久留米で開催された日本スポーツ整復療法学会に原田先生、池井、市原で参加してきました。
先日、原田先生からもご紹介があったように今回は講演内容についてご紹介させて頂きます。
今回は久留米大学 人間健康学部 スポーツ医科学科 副島 崇先生による
「膝前十字靭帯靭帯・半月損傷の治療」の内容についてご紹介させて頂きます。
主にスポーツ中、ジャンプの着地やステップ、ターンの際に膝の外反、
下腿の急激な内旋が加わり断裂をしてしまうと言われている前十字靭帯靭帯ですが、
この靭帯が断裂した状態でスポーツを継続することは可能でしょうか??
答えは『NO』です。
前十字靭帯は脛骨の前方移動、内旋、膝の過伸展を制御しています。
前十字靭帯が断裂した状態では上記の機能が破綻している為、
直線でのランニングはほぼ問題なく行えますがジャンプの着地、
ステップ、ターンをしようとすると膝がガクッとなる「膝くずれ」を起こしてしまいます。
このようなことがスポーツ中に何度も起こることを考えると断裂した状態でスポーツを継続することは難しいことがお分かり頂けると思います。
また「膝くずれ」が起こるだけでなくその影響で半月板、軟骨に損傷が及んでしまします。
半月板には荷重の分散、衝撃の吸収等の働きがありますが、
半月板に損傷が加わりその機能が破綻してしまうと荷重・衝撃は膝の軟骨にかかってしまいます。
軟骨に直接衝撃が加わることで次は軟骨に損傷が起こり次第に早期に変形性関節症になり、痛み、水が溜まる等の症状が出てきます。
膝前十字靭帯が断裂することによって、このように膝には大きな影響が及び日常生活にも支障が出てしまいます。
前十字靭帯の診断は主にMRIでの診断が可能ですが、MRI以外にもKMIといった脛骨の前方動揺性を測定する機械でも診断が可能だそうです。
KMIでの脛骨前方動揺性が健側(怪我していない方)に比べて2mm以上であれば前十字靭帯断裂と診断できるとおっしゃられていました。
検査を行い、前十字靭帯断裂と診断されればほとんどの場合手術を行います。
なぜならば前十字靭帯は血行が乏しい為、靭帯の自然治癒が望めないからです。
では手術を行えばすぐにスポーツ復帰ができるのでしょうか?
こちらも答えは『NO』です。
手術直後は靭帯の強度が弱い為、早期に無理な運動をしてしまうと再断裂してしまうリスクがあります。
一般的に手術をしてスポーツ復帰をするには8〜9ヶ月を要します。
また手術では靭帯再建術を行いますが、手術後2年が経過しても再建した靭帯の強度は元の前十字靭帯の強度には戻らないそうです。つまり、手術をしてスポーツ復帰をした後も再断裂のリスクはつきまとうということです。
前十字靭帯断裂の原因となる下腿の急激な内旋は自家筋力では防ぐことができません。
その為、前十字靭帯断裂を起こさないためには「予防トレーニング」が大事になってきます。
今回の講演で副島先生は
「手術は始まりでしかない」
このようにおっしゃられていました。
スポーツ復帰、再断裂の予防のためには患者様自身の協力も不可欠ということです。
これはどの疾患の患者様でも当てはまる事ではないでしょうか。。。
患者様の新たなスタートの背中を少しでも押してあげられるように私たちは進んでいかなければならないと改めて感じた貴重な講演でした。
以上、簡単ではありますがご紹介させて頂きました。