下前腸骨棘剥離骨折の診断と治療
診断上の留意点
ジュニア期のお子さんをお持ちの皆さん。
サッカーをしている最中、ダッシュやキックで股関節が急に痛くなった経験はありませんか?
こうした痛みで整形外科を受診すると
腸腰筋肉離れとか、大腿四頭筋肉離れ、下前腸骨棘剥離骨折、上前腸骨棘剥離骨折など・・・
様々な診断がなされることがあります。
それは何故でしょうか…?
通常は剥離骨折があって、左右差を見れば、確実に診断できます。
ところが年齢が若い場合は、
初期はレントゲンが正常で2〜3週間後に剥離部位がレントゲンで見つかる…
そのため症状だけからだと、剥離骨折か肉離れかの鑑別が難しく、
どうしても画像診断に頼ることになるので、見落としがないように非常に注意を要します。
時間に余裕がある場面ならともかく、
確実に診断しないといけない時はMRIに頼らないといけない場面
さらに注意すべきなのは、剥離骨折でも、発生2週間程で臨床的な所見(症状)
剥離していてもプレーができる気がしてしまう、そしてプレーしてしまうと再発してしまうという点です。
中学生レベルで発生した際の典型的な画像です。
骨融合した場合の典型的な画像です。
成長期の選手で、
症状からすると剥離骨折を疑いましたが、レントゲン所見がなく、
初めは肉離れと診断していました。
経過中、剥離骨折が明確化し診断名を変更した症例です。