ジョーンズ骨折はご存知ですか?
【ジョーンズ骨折(第5中足骨疲労骨折)】
ジョーンズ骨折はご存知ですか?
『足の小指の骨折』と言えば、サッカーファンの方なら『あの選手がそうだった。』と思い出されるかもしれません。
インターネットで<ジョーンズ骨折>または<第5中足骨疲労骨折>と検索すると
- リオネル・メッシ
- ネイマール
- ウエイン・ルーニー
- デイヴィッド・ベッカム
- マイケル・オーウェン
- スティーヴン・ジェラード
などなど世界的に有名な選手の名前がズラッと出てきます。
国内だと
代表で有名な選手である
- 清武弘嗣選手
- 香川真司選手
- 小野伸二選手
- 玉田圭司選手 等が出てきます。
名選手もケガしているんですね。
<豆知識>
第5中足骨骨折は足の甲の小指側の骨の骨折です。(図1)
サッカー、バスケットボール、ハンドボールなどの種目に多く見られます。
骨折する部位の血液の流れが乏しいために骨癒合がなかなか得られにくい部位でもあり、再骨折も多い部分です。
(図2)
『若い症例が多いのに再骨折なんて!?』と信じがたい方にみていただきたい、典型的な再骨折の自験例を1例提示します。(図3)
この症例は約20年前の症例です。
16歳男子。
サッカーの国体レベルの選手です。
高校サッカー界で強豪といわれるチーム所属でした。
初診の時のレントゲンではこんな小さな亀裂ですが、典型的な亀裂部位であり、痛みが強く出現しているので、本人のスポーツレベルを考えて手術を勧めたものの、本人の強い希望で保存治療となりました。
レントゲン経過をご覧ください。
6週間程度で、視覚的にはもはや亀裂は消失と言っていいと思います。しかし当時安全をとって3ヶ月まで運動は待たせました。
それでも、徐々にトレーニング再開していきましたが、復帰後2ヶ月で再骨折しました。
その後は 切り替えて手術となりました。
意外かもしれませんが、スポーツ医療の業界の方であれば『これは結構典型的なケースだね。』と言っていただけるケースだと思います。
<大事なポイント>
レントゲンで亀裂があっても無症状であれば
インソール(足底板)やトレーニングごとのシューズの使い分けで骨折させずにコントロールできる症例もあります。
しかし一度痛みがでたり、骨折の状態になれば手術が必要になります。
今回の症例は、初診時にステップで痛みが増強しているので、
亀裂が小さく見えても、実際には結構な長さの亀裂がおよんでいることが多いのです。
20年前は断層写真までは撮影していない時代だったので参考画像はありませんが、
今は手術前にCTで断層写真を撮影しており、レントゲンで小さい亀裂にみえてもCTでは骨幅の50%程度までに至る亀裂が確認されることもしばしばです。
この頃はジョーンズ骨折になる選手の特徴はまだはっきりはわかっていない時代でした。(次回 なりやすい選手についてご報告します)