【手首の骨折(若木骨折)】
「練習初日から転倒して手関節傷めました。
あんまり痛がるんで、連れてきました。
運動不足なんよ、あんたは!」
(↑外来でよく繰り広げられる会話です)
視診では手関節部(手首)に腫脹と圧痛がありました。
触診では痛みが強く、手をひっこめるほど。
当然骨折を疑います。
レントゲンとエコーを実施しています。
エコー画像 健側と患側の比較
レントゲンでの患側と健側の比較
診断は橈骨若木骨折となります。
扱いは骨折と同じです。
橈骨若木骨折のレントゲン上の経過
(今回の症例ではなく、数年前の同様症例)
黄線のように、骨が再生して滑らかな曲線に戻っています。
<橈骨遠位端骨折について>
こどもの骨折です。 <日本骨折治療学会HPから抜粋>
走っていて転倒したり、スポーツで転倒したりという時に手をついて骨折は生じます。
子供の骨は骨膜が厚いので「ポキン」と折れずに、青竹や若木が「ミシミシ」と折れるようになります。
また、骨癒合が良く、再構築(リモデリング:ある程度曲がって骨癒合しても、
徐々に自然と本来の形に戻っていく)することが、成人の骨折とは異なる特徴です。
シーネ固定やギプス固定などの保存療法で治ることが多いですが、
大きくずれた(転位した)場合には手術を行うこともあります
<よくある質問>
「うちの子整形外科で整復してもらったんやけど、私がみてもまだズレがあるんよね。大丈夫やろか?」
→橈骨遠位の骨折については転位(ズレ)があれば徒手的に整復をします。
解剖学的整復が得られるのが理想的ですが、小児には自家矯正能力があるので、完全整復にこだわる必要がありません。
許容範囲については今までも数多くの研究論文がでています。
逆に整復しても転位(ズレ)が許容範囲にならなければ手術が必要になるのです。
<知っておいて欲しい豆知識>
骨折を整復しても、手関節周囲の腫れがひくと再転位することがよくあります。
「うちの息子はおとなしくしていたのになんで!?」なんて落ち込まないでくださいね。
再転位の多くは1週間以内に起こるので、
骨折の整復をしても包帯の巻替えをしながら固定のゆるみがでないように監視する必要があります。
「固定したから次は1週間後でいいだろう」なんて思わず、毎日でも2日おきでも、こまめに固定が緩まないようにご来院ください。