【ねんざで見逃されがちなJuvenile Tillaux骨折】
【ねんざで見逃されがちなJuvenile Tillaux骨折】
ねんざをして痛みが非常に強く、レントゲンで問題なしと初期診断されたにも関わらず、
その後あまりに痛みが強いので来院された時には、
こんなのが隠れている場合があります・・・というレアな事例をご紹介します。
症例 中学生選手
<主訴>左足関節痛 動かすと非常に痛い
<現病歴>
試合中に相手にひっかかり足関節をねじる。
非常に痛み強く他院受診。
当院紹介うける。
<初診時レントゲン>
図1:一見すると左右の画像の差を確認できません。
レントゲンを拡大すると左足の成長線部分に亀裂を認めます。
図2、3:足関節面の骨折なので精密検査としてCT画像を撮影しました。
<臨床診断>
Juvenile Tillaux骨折
脛骨遠位骨端前外側のソルターハリス3型の骨折
<治療>
関節鏡で関節面の亀裂を確認。
透視下にて骨かんしにて整復。
K-wireにて仮止めをしておき、吸収性スクリューにて固定。
固定後、関節鏡で関節面の亀裂がほぼ消失したことを確認してギプスとした。
図4
<術後経過>
関節面骨折のため、免荷6週間。
術後6週から荷重開始、10週で全荷重。
12週CTで骨癒合良好。
図5
今回の症例で3例目です。
1例は他の病院にてオペになっています。
この成長線(骨端線)付近の骨折をしていても
他のクリニックでねんざと診断され、
リハビリしていてもなかなか痛みが取れないという理由で来院されました。
これまでに同年代の同様の症例2例を経験していて、どちらも脛骨遠位の骨端線離開(ソルターハリス2型)でした。
幸い2例とも保存治療で改善して復帰しましたが、
よく見ないと見抜けないことがあるんだなと、自分自身も気を引き締めた経験があります。
紛らわしい表現のため補足です。
★脛骨遠位のソルターハリス2型式は非常に多く遭遇するのですが、初診医で見抜けてなかった2症例とも遭遇しております。
★今回提示しました。ソルターハリス3型は3例遭遇して
自分で2症例オペ、1例は他院でオペとなっています。
今回の関節面骨折も、よく見ないと関節面におよんでいる骨折と認識できないので注意が必要です。
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<豆知識>
Juvenile Tillaux骨折
受傷機転
足関節に外旋ストレスが加わり、前脛腓靭帯が緊張することで骨端線損傷を生じる
図6
脛骨遠位骨端前外側のSalter Harris(ソルターハリス)3型の損傷であり、
骨端線の一部が閉鎖していない時期に生じるため、
比較的稀である。
本骨折は関節面骨折であり整復が非常に重要である。
1872年Tillauxが前脛腓靭帯にかかる負担により発生する脛骨遠位の裂離骨折を記述した。
この発生は骨端線の閉鎖過程と関連性がある。
Kleiger
脛骨遠位骨端線の閉鎖は12.5歳頃より、
まず中央より始まり、ついで内側、最後に外側が閉鎖する。
完全閉鎖まで18カ月の期間を有する。
Kleiger B et al; J Bone Joint Surg Am.1964;46:25-32
骨端線の閉鎖時期
男子 15歳前後 女子13歳前後
東 永廉ら 整形外科 1990 41 1699-1703
治療方針
関節内骨折であり関節面の正確な整復が重要
Spiegelら
2㎜以上の転位例で保存治療した症例の16%に関節面の不整を認めた
Spiegel PG et al;J B J S Am 1978 60 1046-1050
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