【すねの疲労骨折】
『すねが痛いの?走りすぎたんやない?』
『えー!疲労骨折なん⁉』
6月に入り、部活やクラブチームでは、指導者の皆さんが2か月の休止期間を考慮して段階的にトレーニングを始められていると思います。
しかし選手にしてみれば
『よっしゃー!サッカーできるぞ!!』
『よっしゃー!ラグビーできるぞ!!』
『よっしゃー!野球できるぞー!!』
など心を躍らせ、張りきって練習に励んでしまっているかもしれません。
待ちに待ったんですから・・・気持ちはよく分かります。
しかし先日からブログに書いているように、長期休止期間あけには足関節の捻挫はもちろん、肉離れ、腰痛、疲労骨折が頻発します。
慎重にトレーニングを開始してくださいね。
今回は、いわゆる「弁慶の泣き所」がある向こうずね(脛骨)の疲労骨折について書きます。
症状はすねの痛みです。
スポーツに詳しいお母さん、お父さんは、お子さんがすねの痛みを訴えると
『走りすぎてシンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)やない?注意しいやー。』
と思われる方も多いと思います。
それが翌日になり、お子さんがえらいびっこ引いていたりして、整形外科を受診すると・・・
『えー!疲労骨折なん?????????』
というケースがあります。
これまでに経験した疲労骨折で、短期間で発症したケースに最初にであったのは10年前でした。
高校陸上をやっている女子で、定期試験が終わって1週間走りこんだらすねの痛みで下肢に体重をかけられなくなり来院。
MRIでも疲労骨折でした。
治療によりレントゲン所見で仮骨も形成され10週間で完治しました。
今回ご紹介する画像の症例は競技選手です。
6月にむけて練習を再開して数日目に下腿に非常に強い疼痛を感じ、当院を受診されました。
臨床所見では、すね(脛骨)の内側広範囲に痛みを訴えており、まずシンスプリント(骨膜炎)を疑いました。
歩行もすたすた歩けず、一歩一歩でした。
痛みが非常に強いため疲労骨折を疑いMRIを施行しました。
幸いなことに
左の脛骨の表面に白い炎症を示す信号がありますが、骨髄内の信号変化がないので
臨床診断は シンスプリント中等症 でした。
まだ疲労骨折にまではなっていませんでした。
シンスプリントの場合、骨内に信号が出現していれば、疲労骨折に近い状態と考えてください。
回復までには長期間かかります。
すねの痛みには要注意です。
脛骨疲労骨折の典型的画像をしめします
脛骨の表面のみならず骨髄内の信号変化があるのがわかると思います
こうなると回復までに最低10週はかかります