こんにちは。福岡市城南区の整形外科・スポーツ整形外科 タケダスポーツクリニックです。
捻挫をしてしまったとき、適切な処置をしないと、元のように治らなかったり、捻挫を繰り返すようになったりと、スポーツをする上でとても苦しめられることになります。
今回は、捻挫をしっかりと治すために必要なことをまとめました。
◆合併症を疑え
足首の捻挫というと、足首を内側にひねって(=土ふまずが上を向くようにひねって)起こるのが一般的です。この場合、足首外側の靭帯を損傷して、外くるぶし周辺が痛んだり腫れたりします。
しかしひねり方によっては、ケガがもっと多くの部位に及んでいる場合もあるので、慎重に見極める必要があります。考えられるのは、足の甲にある靭帯(=二分靭帯)まで損傷しているというパターンや、それがひどくなると剥離骨折ということも考えられます。
また、ふくらはぎの筋肉が強く引っ張られることにより、内くるぶしの下あたりの骨(=外脛骨)が痛む場合もあります。
また、捻挫の治療で長期間足首を固定していると、足首関節の可動域が狭くなってしまったり、筋力が落ちたりして、固定具なしには歩けなくなってしまうということもあります。
これも立派な合併症の一つ。捻挫をしたら安静にすることはもちろん大切なことですが、動かせる関節は早めに動かしておき、競技復帰への道筋を立てましょう。
◆捻挫後の症状を軽くするには
まずは捻挫した方の足で片足立ちができるようになるまでは、ギプスなどの固定具でしっかりと固定しましょう。片足立ちができるようになったら固定具は卒業です。テーピングやサポーターに変え、日常生活を送ってもらいます。
早く競技復帰するためには、患部以外のトレーニングをしておくことが大切です。患部に負担がかからない範囲で、足首周辺の運動や筋力強化をすることで、積極的にむくみを取っていきましょう。
こうしたトレーニング後や電気治療の後は、アイシングを忘れずに。また、水とお湯に交互につかる交代浴も、痛みの軽減に効果的です。
◆リハビリの注意点
治療を続けると、ギプスや松葉杖から卒業する日が来ますが、競技復帰はもう少し先。徐々にリハビリをして復帰を目指します。
リハビリの目的は主に二つです。
・関節可動域の改善
・再発予防のための正しい動作と筋力を身につけること
です。
ギプスなどで足首を長期間固定していると、関節が硬くなってしまいます。
そのままにしておくと、スムーズな走りができなかったり、後々の競技復帰の妨げになるので、正常な可動域を取り戻す必要があります。
足首を振って動かしたり、ぐるぐると回したりといったリハビリを重ね、足首を動かしたときに左右差がない状態にするのが目標です。
また、長期間動かさずにいると、足首周辺の筋力も低下してしまいます。これも競技復帰の大きな妨げですから、筋力トレーニングも欠かせません。
それと同時に、捻挫を繰り返さないための正しい動作も学んでほしいところ。足首が内側や外側に傾きすぎないようにします。
痛みがなくなり、リハビリで可動域と筋力を回復し、正しい動作を習得できたら、アジリティーテストです。これに合格すれば、晴れて競技復帰となります。
◆捻挫を放置するとどうなる?
靭帯が緩んだ状態のままスポーツを続けると、足首がぐらぐらして、足首の軟骨が必要以上に摩耗してしまいます。おじいさんやおばあさんが「膝が痛い」と言っているのを聞いたことがありますよね。あれは軟骨が加齢とともにすり減ることで、関節が変形してしまったり、違和感や痛み・引っかかりを感じる「変形性関節症」という症状です。
捻挫を放置すると、若いうちからこの症状に悩まされることになります。
また、正しい動作を身につけないまま競技復帰して捻挫を繰り返してしまうと、普通に歩いていても不安感や痛みを覚えるようになります。関節の奥のほうが痛んだり、むくんでしまうこともあります。
実際に捻挫をするときは、関節が抜けるような嫌な感覚とともに、亜脱臼気味の捻挫になってしまいます。これでは満足のいくパフォーマンスは到底できません。
捻挫は放置せず、必ず病院で適切な処置を受けることが大切です。